平成16年度 2次本試験事例 <生産・技術>



  C社は、食品関連の包装機械の製造・販売を事業としている。設計、部分加工、組立など
  完成品に至る一貫した工程を社内に持ち、合理化、省力化のための機器製作には定評が
  ある。製品のユーザーである大手・中堅の食品メーカー5社が主な顧客である。
  
  昭和41年の創業以来、食品関連の包装機械を中心に手掛けていたが、平成2年に即席
  カップ麺の充填包装ラインの開発に成功して以後、着実に成長してきている。現在、資本金
  は3,000万円、従業員数は40名、大都市圏に本社、地方圏に工場1つがある。本社には
  総務部と営業部、工場には設計部、資材調達部、製造部がある。

  前期の売上高は11億円で、前々期に比べて5%増加した。月生産台数は、単体の装置で
  5〜10台程度、単体の装置を複数組み合わせたライン装置で3〜5台程度である。即席カップ
  麺の充填包装ラインの売上は、10年前にはC社の全売上の30%であったが、今期は約70%
  になっている。なお、C社は、カタログに掲載している標準タイプの単体の装置(約20種類)に、
  顧客の要望に応じて機能を付加したり、形状を変えたり、組み合わせてラインにしたりする
  受注生産形態を採っている。
  
  C社の現在の主力製品となっている即席カップ麺の充填包装ラインは、調理された麺やスープ
  などをカップに詰めて包装するまでの一連の製造システムである。即席カップ麺の蓋の溶着
  は、同業他社の装置と比べて約1.3倍の速度で処理できる。

  一般に、食品関連の機械製造業は、需要の変動が大きい他の機械製造業に比べて、需要の
  変動が小さい分野である。その業界では、ユーザーが大手企業の場合には、商社経由での
  取引が一般的である。また、近年、即席麺メーカーの中国企業への資本参加が活発化してき
  ている。

【受注から生産までの流れ】

  まず、引き合いに応じて営業部が客先に出向いて仕様を確認し、設計部は営業部から伝えら
  れた顧客の要望に基づいて仕様書を作成する。次いで、営業部は設計部から仕様書を受け
  取り、再度客先に向かい、仕様内容を確認する。仕様が顧客により確認された後、設計部は
  見積りに必要な情報を営業部に提供する。その後、営業部は見積書を作成し、顧客に提示す
  る。受注に至ると、設計部は仕様に基づいて詳細設計を行い、詳細設計図を資材調達部に
  引き渡す。

  設計部、資材調達部、製造部の各責任者が出席する毎週月曜日朝の生産会議において、
  製品の受注状況、受注製造の納期、製造の進歩状況等を勘案しながら今後3カ月間の組立
  工程のスケジュール(これをC社では「生産計画」と呼んでいる。以下、これを「生産計画」とい
  う。)を更新する。

  新規受注品が「生産計画」に追加された後、資材調達部はパソコンにより、部品・材料データ
  ベースから、その製品に必要な部品や材料、その数量、在庫の有無などを確認する。発注が
  必要な部品・材料については、組立工程のスケジュールなどを考慮してリードタイムをパソコン
  上で計算する。さらに、上記データベースから部品加工の作業手順書を引き出し、外注先また
  は製造部に提供する。しかし、顧客の個別の要望に応じた1回限りの仕様である「特注部品」
  は、個別に手作業で手配業務を行う。最近「特注部品」が多くなってきており、資材調達部の
  手配事務が煩雑化してきている。

  発注が必要な部品・材料のうち、購入部品・材料は、資材調達部が発注する。加工部品の
  内外作の決定にあたっては、社内の稼働率が優先され、社内の工程に空きがあれば社内
  加工に振り向けられる。社内の工程の空きは、資材調達部が随時、製造部からのヒアリング
  によって把握する。外注加工品と購入部品・材料の受け入れ、検品を行うのも資材調達部で
  ある。

  常時取引のある加工部品の外注先は20社あり、どの部品をどこに発注するかは、各外注先の
  特性に応じて、資材調達部の外注管理担当者を決める。外注先の加工進捗状況は、各外注
  加工品の納品予定日の3日前に電話で確認することで把握する。顧客への納期や組立作業
  での必要日数などを勘案すると、外注加工品の発注から「生産計画」上の組立作業までの
  日程に余裕がない場合も多い。

  製造部は、部品加工課、組立課、アフターサービス課の3つに分かれている。部品加工課は、
  資材調達部から社内で加工する部品の依頼を受け、「生産計画」に基づいて課内の週単位の
  日程計画を作成する。完成した部品は組立課に引き渡す。

  組立課は、資材調達部が受け入れた外注加工品と購入部品・材料、ならびに部品加工課
  から引き渡された社内加工品によって、装置の組立、配線、調整、最終検査を行う。毎日の
  作業については、「生産計画」に基づき、組立課長が組立課の社員に指示する。しかし、外注
  加工品の納品遅れが原因で、「生産計画」どおりに組立作業が開始できない場合がある。
  製品の引渡しは営業部と製造部が立ち会って、客先で行われる。アフターサービス課は、納入
  した製品に関する定期点検や修理を客先で行う。

  近年、価格や仕様についての顧客の要求が厳しく、営業部は仕様の頻繁な変更や価格交渉
  のため、顧客への訪問や設計部との打ち合わせが増加しており、引き合いから受注に至るま
  での期間が長期化する傾向にある。この間に同業他社の値引きによって受注を奪われる
  ケースもみられる。一方、顧客から技術的な側面からの提案が求められてきている。 納期
  は、受注した装置にもよるが、ライン装置では通常、1〜3カ月である。近年、短納期の要請が
  顕著であり、これに対応できるような業務プロセスの革新が重要になってきている。



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